ange~天使が恋した王子様~
「…………」
急に怖くなってまた声が出なくなる。
早く、出さなくちゃ。
早く、早く、早く………。
かちゃ
そんなことを思っていると、扉が開いた。
「やっぱ、杏樹だ」
「ぉ、そくなってごめん」
何とかして出した声は震えていて、不恰好だった。
「いや、きてくれてサンキュ」
優しい笑顔で言うソウくんに私は首を振った。
「とりあえず、入って」
「……ぅ、ん」
私はソウくんの部屋の中に入って、ガラステーブルの前に座った。
ソウくんはそんな私の前に座る。
「「…………」」
しばらく流れる沈黙。
ちらっとソウくんを見ればソウくんもこっちを見ていて視線が絡まる。
でも、パッと目をそらした。