ange~天使が恋した王子様~


「私がソウくんから離れるのは、ソウくんのせいじゃない。

私が弱かったから。ごめんね、」


「杏樹、どういうことだよ」


「この1年。すごく楽しかったの。

楽しくて、幸せで、仕方なかった。

苦しいこともたくさんあったけど、ソウくんのそばにいられたことが私にとってなにより幸せだった」


「俺だって、」


「違うよ。ソウくんは。

私たちとどれだけ時間を過ごしたって。

隣とどれだけ笑っていたって。

ソウくんの心の中には、由紀ちゃんがいた」


「そんなことねぇよ」


「でも、心のどこかにはいたはずだよ」


「杏、」

こんなの、ただの八つ当たりだ。

ただの負け惜しみ。

ソウくんのせいだって、言ってるようなものじゃない。

バカみたい。

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