ange~天使が恋した王子様~
「杏樹のこと、よろしくね。
あの子には、きっとあなたしかいないから」
全てを見透かしたような優しい笑顔で言う紗江さん。
この人には、全部わかってるんだろう。
俺はさっきより深く礼をしてまた走り出した。
なぁ、杏。
俺らの関係ってなんだろうな。
恋人じゃない。
家族じゃない。
友だちじゃない。
親友とも違う気がする。
俺を好きになってくれた杏を俺も好きになった。
両想い。そう言っていいはずなのに、俺たちはすれ違ってばかりだ。
でもな、杏。
俺、どれだけ離れてても。
どれだけ人がいても。
お前を見つける自信だけはあるんだよ。
俺の中にあるなにかが、お前のところに導いてくれてる気がするんだよ。
だから、何度お前が逃げても。
迷っても。
何度だって、見つけてやるよ。