ange~天使が恋した王子様~
ザッ
「見つけた」
「……………」
砂浜に腰掛ける見慣れた背中。
「杏」
「…………」
でもそれは、いつもより小さく見えた。
「こっち向け、杏」
ゆっくり近く。
「あ、「……………なんで?」」
もう1度呼ぼうとしたとき、小さな声が聞こえた。
震えていて、か弱くて、潮風や穏やかな波の音に消されてもおかしくない声。
あぁ、そっか。
泣いてるんだ。
泣かせないって言ったそばから泣かせてるし。
情けねぇな。