ange~天使が恋した王子様~
「杏樹」
「昨日、ばいばいって言った」
「俺は納得してない」
最低だって、わかってる。
あれだけ傷つけて。
それでも離れることを許さないなんて。
「もう、やなの」
「わかってる」
最近のお前の顔はいつだって苦しそうだった。
少し考えれば、ちゃんとわかることだった。
「辛いの」
「あぁ」
お前が泣いてること、どこかでわかってた。
でも、気づいたらお前を離すしかなくなりそうで、怖かった。
「怖いの」
「あぁ、」
杏樹、俺も今怖い。
今までにないくらい、怖い。
「それなのに、どうして離してくれないのよ…‼︎」
「離すかよ」
「も、離してよ…」
「いやだ」
「もう、無理だよ…」
膝に顔を押し付ける杏。
小さな嗚咽さえ聞こえてきた。