ange~天使が恋した王子様~
「由紀ちゃんは、」
「由紀には、クリスマスにちゃんと言ってきた。
杏樹が好きだって。
だから、これからはもう会いに来れないって」
「でも、」
「確かに、迷ったのも、戸惑ったのも事実だけど。
きっと、ずっと前から決まってた。
去年の冬に、考えるって言ったときにはもうお前のこと好きだったよ」
「……………は?」
焦ったような声から急に素っ頓狂な声を出す杏。
まぁ、驚いても仕方ないか。
「気づいたのはクリスマスだけどな。
まさか、自分がここまで鈍いとは思ってなかった」
「……………鈍すぎ」
「だな」
俺はフッと笑った。