ange~天使が恋した王子様~
「私、この前、ソウくんの部屋に行ったの」
「うん」
そう、お正月に初詣に行った帰り。
私はソウくんの部屋に行った。
「そのとき、見ちゃったんだよね」
「なにを………?」
「資料」
「資料?」
「アメリカの大学の」
「え…………?」
そう、ずっと頭の中をぐるぐるしてた。
たくさんのプリントや教材の間から顔を出したあの資料のことが。
「はっきり見たわけじゃないけど、間違いないと思う」
「でも、ソウって……………
あれ、私ソウの進路知らない…………」
思い出したような顔をする棗。
「うん、私も。聞けてないの」
「ソウには?」
「言ってない」
言えてない。
アメリカに行くなんて、聞きたくない。
せっかく両想いになれた。
なのに離れ離れになるなんて…