ange~天使が恋した王子様~
「俺は、離れる気ないよ」
ほんとのこと言ってよ…。
「ソウくん………………」
「約束しただろ。そばにいるって」
そう言って私を抱きしめるソウくん。
その中は、季節に合わないくらい暖かくて。
その暖かさに似合わないくらい、腕は震えてた。
「ソウくん、私、ソウくんのこと好きになってよかった」
「なに、言ってんだよ」
ほんとだよ。
「自分のことより、私のこと考えてくれた。
いろんなもの諦めて、そばにいてくれようとした」
「杏、」
ソウくんは優しかった。
「私は、それだけで十分だから」
「やめろ、」
暖かかった。
「私は優しくなれないから。
なにも言わず、別れるなんてできなかった。
弱かったから」
「やめてくれ………」
嘘なんて、つけなかった。
つけるはず、なかった。