ange~天使が恋した王子様~
「ま、杏には私がいるから」
得意気に言う棗。
「うん!」
「寂しい思いなんてさせないからね」
「卒業しても会おうね」
「当たり前でしょー!?親友なんだから」
「うん!……棗」
私は笑顔で頷いた。
「ん?」
「大好き!!」
「………あーもー」
そう言った棗は抱きついてきた。
「わ、」
「…………私も大好き」
私たちはそのまま笑いあった。
前を向いているソウくんにも、私の味方でいてくれている棗にも、今私の手が震えていることは秘密にしておこう。
納得してる。
理解してる。
ただ…………ただ、少し怖いだけ。
別れに敏感になってるだけ。
大丈夫。大丈夫。
私は言い聞かせるように唱え続けた。