ange~天使が恋した王子様~
「………………いってきます」
「………………いってらっしゃい」
同時に出た声は終わりの合図だった。
どちらともなく、腕を解き、向かい合った。
2人の笑顔は切なさを隠しきれていなかった。
それでも、このままではいけないと確かに思っていた。
「杏、それ。
4年後にちゃんと嵌めるから失くすなよ?」
最後に意地悪く笑ったソウくんは私の胸元を指差した。
確かに、ヒヤリとした感触があった。
見ると、チェーンにぶら下がっているリング。
これ…………
私がばっとソウくんを見ると、すでに歩き始めているソウくんが後ろ手に手を振っていた。
「ばか………」
こんなの、泣かないでいられるはずないじゃん……。