その身は凍る
 男はその日、昼頃に目を覚ました。



 大きなあくびをして寝呆けたまま、Tシャツに色褪せた緑色のカーゴパンツに着替えると玄関を出た。



 覚束ない足取りで向かったのは、アパートから3分程で着くコンビニだった。


 コンビニに入るなり、男が手にしたのは就職情報雑誌だった。



 2週間前に仕事を辞めて、それから毎日の様に同じ行動を続けている。




「・・・今週もダメだな」



 そう呟いて雑誌を元の場所に放り込む様に戻すと、男は寝癖のついた髪をボリボリと掻きながら弁当コーナーに向かった。



 長いあくびをしてから悩んだように弁当を物色しては、毎回同じ唐揚げ弁当を手にしてレジに向かう。



 そして愛咽しているタバコを店員に言って、あくびをしながら会計を済ますとコンビニを後にした。
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