その身は凍る
 外食か弁当か…外食かな。



 服を着替えた男は時計に目を向けると4時半を過ぎたばかりで、6時くらいに出るか、と呟きゲームの電源を入れて格闘ゲームをやり始めた。



 男の暇潰しはいつもそんなものだった。



 それから飽きもせず2時間程度ゲームを続け、時計に目を向けて腹に手を当てるとおもむろに立ち上がり、ゲームの電源を消した。



「行きますか〜ラーメンかねぇ」




 財布とタバコ、そして部屋と自転車の鍵を持って玄関を出た。



 静かだねぇ。



 また気怠そうに髪を掻きながら階段を下りていくと、コンクリートの階段の下に一人の中年女性が目に映り込んだ。



 なにしてんだ?ここの住人か?



 男は無視しようと思ったが、階段を下りる中、その中年女性は男を訝しんだように凝視してきた。



 気持ち悪ぃな。



 そこにただ立っていることもさることながら、その中年女性の貧相な外見が男にそう思わせた。
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