Situation~バス停…~
「スイマセン、一度降りますので、先行ってください。」




そういって俊樹は、バスを降りた。




バスは降りたと同時に、動き出し、その反対の方向で歩き出した時、

バスに乗っている、その女性と目があった。




女性は少し、可哀想にという目で、俊樹をずっと追っていた。

俊樹もそれに気付いて、歩きながら、顔だけはずっと

バスを追っていた。




これがその女性との最初の出会いだった。




自宅に戻り、財布を取り、会社を向った。

これが俊樹の引越し初日の出勤だった。










翌日はあいにくの雨で、同じく10分前には傘をさして、

昨日と同じ様な時間で列に俊樹は加わった。




列に並んだ俊樹が程とくして、こちらに向ってくる赤い傘を目にした。




赤い傘の下から覗く服装は、昨日と同じベージュのトレンチコートで、

昨日バスの中からずっと俊樹を見ていた女性だった。




バス停には屋根が付いていないため、傘をさしたまま赤い傘の女性は

俊樹の隣に立った。




俊樹は気付いていたが、女性は俊樹に気付かない様子であったので、

俊樹はそのままバスが来るのを待った。




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