イケメン・コンプレックス
一台の乗用車が目の前の車道に横付けして止まった。
助手席と運転席から両親とみられる2人が降りてくる。
「夏希っ!」
傘もささず駆け寄り、夏希君は母親に抱きしめられていた。
「こんな遠くまで勝手にきて!心配したじゃないっ!」
父親も夏希君の姿をみて安心したのか、深く息を吐くと母親と夏希君を抱きしめた。
すると、夏希君も気持ちの糸が切れたかのように泣き出した。
凄く心配して電話するまでも探してたんだろうなとうかがえる。
あぁ、よかった、よかった。
目の前の光景が微笑ましくて、ボーっと眺めていると、乗用車からもう一人出てきた。
傘をさしていてよく見えなかったのだが、突如稲光がその人を照らし雷鳴が轟いた。
雷鳴と冷たい表情の中にある鋭い眼光に二度ビクつくことになった。
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