イケメン・コンプレックス
「あの子が可哀想だから紹介しない。」
「はぁ?」
「絶対にしないから。」
一喜に泣かされるのは目に見えているし、あんな可愛くて性格が良さそうな子紹介できるはずない。
そもそもそんな不誠実なこと・・・ん?
「さすが湊。」
ニヤニヤしながら一歩づつ近づいてくる。
真正面にたどり着いたと思ったら、意味深に笑みを深めた。
そして耳元に呪いの言葉を投げかける。
「また、敵を増やしちゃったじゃん。あの子に想いを寄せる男子どれだけいたっけな~」
「え⁉」
「いちにいさん・・・ん――数え切れないわ。」
「っ‼・・・い、言わなきゃばれないしっ!」
「え~言うに決まってるじゃん。俺が。ここは公平に情報を提供するべきでしょ。・・・紹介してくれなかった罰だな。」
最後本音漏れてる‼
「はぁっ⁉お、おいっ!バカズキっ!待てって‼」
あることないこと言いふらすのはいつものことだ。
私だってホントは女の子ではなく、男の子に告白されたいのに。
また男子から目の敵にされる。
毎回その繰り返しだ。
恋愛など程遠い。
まぁ、相手には男に見えているのだから仕方ないだろう。
なんだか一喜を追うことも面倒になり、トボトボと屋上を後にした。
この容姿に産まれしまったからには、そういう運命なのかもしれない。
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