イケメン・コンプレックス


デパートまでは家から車で20分ほどで付く。
だが、ズラリと並んだ買うものリストからは簡単に帰れる気配がしない。
普段デパートで買い物しないから尚更だ。


デパート近くでタクシーを降りて、足早に目的地へと向かう。

冷たい雨が頬にかかる。
傘にレインコートと雨具は身につけているが、激しい横雨のせいで既に所々濡れてしまっている。


風邪引かなければいいけどな・・・


デパートまであと一歩の所で私の足は止まった。


歩道の片隅に男の子がうずくまっていたのだ。




「だ、大丈夫?どうしたの?」

驚いて、急いで駆け寄った。

大きなデパートだというのに大雨のせいか、湊と男の子しかいない。
全身びしょ濡れで、カタカタと震えている。

なんでこんな所に。


取りあえず、雨のあたらないデパートの入り口まで連れて行こうとするが動こうとしない。

無理やり引きずるには大きすぎる。


「こんな所に居たら風邪引いちゃうよ?」

男の子はうんともすんとも言わない。
こんな時どうすればいいのだろう。

このままじゃ風邪どころでは済まないくなりそうで、レインコートを脱ぎ、男の子に掛け、持っている傘で一緒に雨を凌ぐ事にした。


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