イケメン・コンプレックス


「1人?」


「名前なんて言うの?」


激しい雨音の中、色々な事を質問するが何一つ答えてくれない。

どのくらい時間が経っただろう。
人を呼んだ方がいいだろうか?
だけど、そのまま居なくなって他のところで1人うずくまってしまっても困る。

にっちもさっちもいかず途方に暮れていると、初めて男の子が顔を上げた。


今にも泣き出してしまいそうな顔をしていたけど、強い瞳でこちらを見ていた。


「帰れば。」


「そんなわけにはいかないよ。」


「・・・」

こんな状態で1人置いてける訳がない。
また黙り込んでしまう男の子に、声をかけた。


「家族が心配していると思うよ?」


「心配なんかしてない。」


「えぇ?」

はっきりそう言う男の子に戸惑ってしまう。
家族となにかあるのだろうか?


「なんでそう思うの?」

「お前に関係ないだろ。」


プイっとそっぽを向いてしまう。
そりゃあ初対面の知らない人に心を開けないだろうけど、結構な頑固者だな。

この子はずっとここにいるつもりなのだろうか・・・

正直、寒いし買い物を済まして帰りたいが、やっぱりほっとけない。


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