彼の胸の中で。
・・・


好きって言葉は口にしない。


それが、私と君の約束だった。


本当は"好き"って言葉だけじゃなくて、"愛してる"も口にはしない。


私がこう思ったからとか、君がこう言ったからとか、そう言うんじゃなくて。


私たちは口にしてはいけない事を分かってるだけ。


本当にただそれだけの関係。


―――だけど、もっと深く言えばそれ以上の関係でもあって。


誰も知らない、私と君の関係。



「……今日はどうする?」

「んー…どこでもいいよ」

「本当にどこでも?」

「うん。…あ、やっぱ家以外」

「ふっ、それは俺も賛成」



こうして今日も、宛のない道を歩く。


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