彼の胸の中で。
手を繋ぐことだって出来ない。
キスはいつも誰もいない場所で、静かに、息を潜めながらだった。
私と君だけの秘密。
もう、二度と戻ってはいけない、秘密の過去。
だけど、誰より好きになった。
誰より愛した。
それが君で良かったと、心から思うよ。
ごめんね――。
……ありがとう。
私を女として好きになってくれて。
君以上の人がこの先に現れたとしても、君はずっと私の愛しい人で、誰より好きな私のお兄ちゃん。
「……今日の夕飯何かなぁ?」
「…うーん……寒いしシチューがいいよな」
「えー? それならハヤシライスがいい!」
「どっちも似てんじゃん」
昨日と変わらない2人の笑い声。
昨日とは変わった私たちの関係。
どれもこれも、大切な思い出になるといいな。
君が…お兄ちゃんが側にいてくれるなら、きっとどんな未来だって、輝いてると思うんだ。