彼の胸の中で。


「えっ、ここって男子トッ――」



最後まで言えなかったのは、君が勢い良く私の口を塞いだから。



「……ん…ふっ…」

「み、つ…」



侵入してくる舌を受け入れながら、熱い吐息に頭がクラクラしてくる。


いつもの事なのに、どうして今日はこんな気分になるんだろう――。



「蜜…っ…」

「待っ――…満(みちる)っ…!」



はじめて見せた私の抵抗。


だけど嫌なんじゃないの。


あのね、



「ここ、誰も来ないの……?」



誰かに見られちゃいけないから。


誰かに知られちゃいけないから。


だから私は少し怯えながら満に問い質す。



「大丈夫。もし何かあっても、俺が守るから」



大好きな笑顔でそう言った君に愛しさが溢れる。


あぁ、馬鹿だな、私。


どうしてこんな事気にしたんだろう…。


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