彼の胸の中で。


ねぇ、どうして?


どうして満は、こんなにも泣きそうな顔をしてるの?



「蜜っ……ごめん…」



やめて…。 泣いたりしないで…。


満は悪くないから。甘えてる私が悪いんだから。 だから……満は謝らないで…っ。



「――…満、っ」



溢れそうになる涙を必死にこらえながら、誰より愛しい君の名を呼ぶ。


私が名前を呼ぶと、いつもどこか悲しそうな顔をすること、ちゃんと気付いてたよ。


私が、満を名前で呼ぶからだよね。


不思議に思う人だっていると思う。


だけど私は、"満"って名前が好きだから。だけどそれ以上に、"満"が好きだから――。



「満」

「ん?」

「もう、終わりにしっ――」

「蜜!」



あぁ、ダメだ。


満にそんな顔させたくなかったのに…。


どうして私は満を好きになっちゃったのかな……。


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