私のいとおしい残念な男達
ダイニングテーブルでお茶を出され、葵ちゃんとお母さんに質問攻めにあいながら、借りていくつもりだった卒アルを開き、和馬と黒木の高校時代の話に華を咲かせた
「晩御飯も食べていけばいいのに……」
一時間ほどお邪魔してそう言われたが、さすがに遠慮した
「え、これ黒木が運転するの?」
今はやりのモスグリーンの可愛い軽自動車
もちろん女性人気の
「母さんのなんだから仕方ねぇだろ」
「……………」
185㎝もある長身で、無駄のない体型
少し癖のある黒髪に小さな顔
整った鼻筋と切れ長の瞳は、笑顔なんて向けなくてもそこら辺の女達を虜にしてしまう
そんな、一見チャラそうなこの男は、
『企画宣伝広報部』所属のクリエイティブ部門ではそこそこ仕事は出来るらしい
有名企業相手に、プレゼンを勝ち取る事黒木ありと言われているとかいないとか……
それに広報部は社屋の15階からのフロアー
いわゆる《中層階部署》
私たち10階以下にある輸入事業部からしてみれば華のエリート部署なのに
そんなこいつが、モスグリーンの軽自動車……
和馬落ちの彼女たちが保たないのは、これが原因?
『高校の頃はよく彼女なんか連れてきたのに、社会人になって忙しいみたいで、波瑠くんもいい歳なんだから、彼女でも作ればいいのに…』
そんな黒木のお母さんの言ったことに、何も返せなかった