私のいとおしい残念な男達
3人の関係性
「ありがとう。ここでいいから」
家から少し離れた所で車を停めてもらった
休日のこの時間は、確実に家には家族が勢揃いしてるはず、どこで誰が見てるか分からない
ただでさえ弟の愁士には変に勘繰られているし
「小夏、首結構ハッキリついてるから気をつけろよ」
そう言って自分の首筋に指を当てる黒木
そうだったっ……ってあんたが勝手につけたんだろ?!
こんなの家族に見つかったら、今日何しに出掛けてたのか勝手に想像されてしまう
一旦車から出掛けたが、もう一度座席に戻ってそのキスマークをファンデーションの鏡で探した
うわっ、本当にハッキリついてる…………
黒木を睨みつけながらそのキスマークにファンデーションを塗ってかくす
「へぇ……結構見えなくなるんだぁ」
その言い草にムッとしなが「もう、こうゆう事やめてよ」と言い放った
「……………やだねって言ったら?」
「なっ………なん」
簡単に近くに顔を寄せてくる
「和馬に言えばいいのに、俺が手を出してくるって」
「…………っ」
言える訳ないじゃんっ
近づいてきたその身体を押し退けて、車から飛び出した
「バカ黒木、もう口きいてやらないっ!」
声を上げ、悔し紛れにそう言うしか出来なかった
車のドアを力一杯締めようと思ったが、車はお母さんのだと言っていたのでやめた
その車を後に一度も振り向かずに家に帰った