私のいとおしい残念な男達
「ところで黒木君、昨日小夏をどこにつれてったの?」
舞子が何気に口を開く
「っ!!」
…………そう言えば昨日、舞子も一緒だったんだ
「そうですよぉ、さっきその話小夏先輩に訊いたら誤魔化されて」
誤魔化してない。タクシーで帰ったっていったじゃんっ
「昨日?」
余計なこと言うなよっ!!
目の前でモモちゃんと舞子に注目されている奴を、二人には分からないように眉を歪ませ睨みつける
その合図に心通じたのか、しれっとした顔をしてその舌が悪態を打つ
「この酔っぱらい女連れてどこ行くってんだよ。タクシーにブチ込んで家に帰したに決まってるだろ?」
「ほっ、ほらぁ~~言った通りでしょぉ。すぐ帰ったって言ったじゃん」
でかした黒木!やればできるじゃんっ
ホッと肩を下ろすと、目の前の奴が頬杖をつき、目を細め口角を微妙に上げる
うっ…………なんだか奴の目がヤバい
偶然にも私がモモちゃんに言ったのと同じ答えでの、奴の返しで切り抜けられたと思ったのに
舞子は目を細めて、それでも疑惑の念を投げ掛けてくる
「ふぅ~ん………じゃあ、昨日にはなかったこの首の虫刺されは、自宅でできたって訳ね?」
そう言って私の首の後ろを指差した
「え……………………はぁっ?!」
バカな私は、どこにあるのか分からないその虫刺されを手で隠し、目の前の黒木に視線を向けてしまった