私のいとおしい残念な男達


「小夏は強がりだな」

それなのに、そんな意地悪な私を見透かしていても、包み込むような笑顔をくれる和馬

背中から肩を抱くように引き寄せられて、ゆっくりと和馬の首筋に頭を埋めた


そのまま和馬の顔が傾き唇が落ちてくる


「……………」

でも、私の指先がそれ止めて顔を背けた


「………キスも、まだダメなんだ」

小さく息をついて、止めた指先だけにキスをした和馬

「ごめん……」

ここで、強引に押し入ってくるような男じゃないのはわかっている


「いいよ、別に。気長に待つから」

そう言って頭を撫でてくれた


「………和馬、あの」

「ん?」


「今日って始めから遊園地には来る気なかった?もしかして」

朝、急に来れなくなった仕事が常務の家への訪問だったとしても、その話はいつから出たものだったんだろう


「そんな事ないよ、本当に急だったんだ。でも上手く収まったみたいだね。水野から連絡きたよ。」

始めから秋山さん相手の、水野君だったんだ。
やっぱり……

「…………秋山さんの事、知らなかったのは私だけだったんだ」


仲間ハズレにされた気分だといじけて見せた


「波瑠から聞いた?でも大丈夫。きっと彼女はもう何もしてこないよ。波瑠にも、俺にも小夏にもね」

和馬がそう言うなら本当にそうなんだろうけど
私は別に何かされた訳じゃない

「弁護士さんが入るくらいの事だったの?」


「ははっ、大袈裟だよ。」


最終的には和馬の笑顔しか帰ってこない


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