私のいとおしい残念な男達

いや、違う。そんな風に不機嫌に応えるところじゃない

でも……


「小夏、波瑠とキスした?」

「してない」


「本当に……?」

「和馬っ!」

疑うように顔を覗き込んでくる和馬を睨みつける。意地悪で言っているのは分かっている

「でも、告白くらいはされた?波瑠、小夏の事好きだから………」


「…………」


だんだん悲しくなってくる

「そんな事あるはずない。今、私が付き合ってるのは和馬だよ」


「…………そっか」


ムッとする私の肩をまた引き寄せ、抱き込みながら頭を撫でる

……和馬にこうしてもらうと私は安心する
だけど、これは私が好きだからしてくれる訳じゃない。私がしてほしいからしてくれるんだ


「そうだね……」


「……………」


和馬の手は優しい
男性的な強引さや、独占欲なんか感じない
身体を動かせばすぐに離れることができる

それは恋人としてもの足り無さがあるのも正直否めない

でも、私にはそのゆるゆるな温もりは必要なのだ

決してそれが私を好きと言う行為ではないとしても


「だったら和馬も来れば良かったのに、そしたら私気を効かせて帰ったのに」

「男二人で遊園地?おかしいだろ?」


「おかしくないよ。黒木と和馬なら、実際男二人で来てた人たちいたし」


ナンパ目的だったけど



< 115 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop