私のいとおしい残念な男達

まさかキ、キスマーク?! 

でも、家で鏡をみた時には無かったはず


「こ、この時期でもお酒飲んでると虫に刺されるのよねぇ………ははっそれにうち、古いから」

嗚呼………苦しい、実に苦しい言い訳だぁ

残暑厳しいこの9月末に、いるのか?
刺すような虫が………?


「ええっ、バ○サンやった方がいいですよぉ。家の中の虫って質悪いって言いますからぁ」

私の斜め向かいに座るモモちゃんから、ナイスな助言

舞子の指摘も彼女の素直さには敵わない


マジメに言うモモちゃんに、クッと奴が笑う


「本当に、小夏の周りには質の悪い虫がいるみたいね」



「ああ、そうみたいだな」

鋭い舞子の言葉に肩を屈める私だが、それでもシレッとした顔をする奴


何も気づかないモモちゃんのおかげで、それ以上追及はしない様子の舞子にホッする





そんな

だんだんと騒然としてくる食堂の人の波の中で、ただ一人のその姿を見つける


「小夏」


その呼び掛けに、気持ちが踊る。
それは嬉しさなのか、それとも後ろめたさなのか

近づいてくる気配に、私はゆっくりと声を掛けられた方に身体を向ける


「和馬、珍しいね。食堂でお昼なんて」


「いや、この後出なきゃいけないから昼は外で食べるんだけど、小夏たちが見えたから…………波瑠が一緒なのって珍しくない?」

そう言いって、柔らかい笑顔をしながら私のすぐ後ろに立ち、黒木に視線を向ける

「偶然だよ。」


「会社で桐生くんに出会える方が余程珍しいと思うけど」

………舞子、そうゆう突っ込みいらないからっ

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