私のいとおしい残念な男達
それをおかしいと思うのは、世間一般な「普通の範囲」がそうさせているだけで、
実際には誰にでも、他人とは違う常識を持っているはずだよと言う和馬
その常識が大きいか小さいかだけだ
「俺にとって波瑠も、小夏も必要だよ」
「………それ、黒木も知ってるの?」
首を振る和馬
「そんなことカミングアウトしたら誰からも信用されなくなる事も実際分かっているからね。ただ生きやすい環境作りは大切だろ?」
結局私にもバレなければ黙っていたって事?
普通に見える環境作り…………?
「…………私が必要なのはそうゆう事なんだ」
普通の、ノーマルに見えるように女性の彼女を作る事
大学時代の彼の彼女と同じように、何も知らされないまま、本当の彼と向き合わないまま…………
「私も騙されたまま、ずっと嘘つかれてたんだ……」
一人急に取り残されたような、その悲しさで押し潰されそうになる
「小夏、違うよ……俺が好きになるのは男に限定してる訳じゃない。ただ……」
でも、私はそんなに広い常識を持っている訳じゃない
「ただ小夏が俺から離れたいなら、それを止めるつもりはないから」
一般的な恋愛の範囲以内の気持ちしか知らない
理解出来ないものを、常識として取り込むには時間がかかる
いままで自分だけの常識の中で、充実していると勘違いして、実はそれを和馬に押し付けていたのだと
訳の分からない自己嫌悪と失望に、一気に陥ってしまい
私はパニックになった