私のいとおしい残念な男達
いろいろなことをその後も沢山考えても、でも別れるなんて選択に至らなくて、すぐに落ち着いて和馬と話した
「同性を好きになる気持ちは、やっぱり今の私には分からないけど……」
「うん」
「でも、理解したい」
本当の和馬をちゃんと知りたいと思った
「うん、そっか」
落ち着けば、またもとの通りになるかもしれないと思っていた
でも、時間が経つにつれてまたグダグダと考え込みだした私は、仕事が忙しい和馬から少し自分から離れていた
とは言っても、電話やメールは今までと同じように話していたし、和馬の方は変わらないままだった
会う時間も、求めてくれることもしてくれるのに、それを遠ざけているのは私の方で
それに、気づかないフリをしてくれているのは和馬の方だった
そんな中での常務のお嬢さんとの噂はちょっと応えた
今まで、何がそんなに自信があったのか、急に訳の分からない不安にかられた
だからあの日は、モヤモヤイライラしてお酒を飲んだんだ…………
だから、黒木との事は事故なんだ
お酒による事故。
でも………もし、これが和馬にバレたら
「和馬はどっちに嫉妬するんだろう…………」
想像がぼそりと口に出て、思わず口を押さえた
「…………小夏?」
「えっ、うん?」
「………いや、これからまた少し忙しくなりそうなんだ、単発的に出張が多くなるから……」
和馬の肩から顔を上げて、そのまま見上げた
「そっか、分かった」
「…………またメールするから」
そう言って、すぐ近くの自宅まで送ってくれた
本来なら帰り際にキスをして別れるものなのに
それを、そうゆう事を拒否する私に和馬は、何も咎めたりしない