私のいとおしい残念な男達
どうしようもない想い
【只今点検中により、使用中止しています。
大変御迷惑をお掛けしております。】
ああ……最悪だ
さっきまで使えたエレベーターがいつの間にか使用不可になっていた
じゃあ、もう一台の方へと思うのに、なかなか上がってこない
「…………」
仕方ない、下へ降りるだけだし、5階分くらい階段で行くか
重い非常階段の扉を開けた
「ううっ……」
憂鬱な気分を奮い立たせて階段を降り出した
就業時間は過ぎ、二時間ほどの残業を終えての退社のため、既に外はすっかり陽が落ちている
会社自体はまだ他の部署でも残業する人がいるから電気も付いているが
非常階段は、昼間同様決して暗い訳じゃないのになぜか夜は無気味で、音も更に響いて………
暗がりが嫌いな私としては身が縮む思いがする
ここは会社だ、何か出るなんてある訳がない
そう思いながら、自分のヒールの響く音さえなるべく立てないようにゆっくり降りる
「……ってください」
2階分降りたくらいで、下の階から非常階段に人が入って来たのか話し声がした
よかった、誰か下から上がってくるのかもしれない、しかも女の子みたいだ
そう思い気持ちが少し落ち着いて足を早めた
「ねぇ、黒木さん………だから」
「!!」
1階から上がった踊り場にいる二人の人影を見てすぐに、その場の手摺のかげに身を屈めるようにしゃがみ込んだ