私のいとおしい残念な男達

「お前もしてほしいんだろ?」

「はっ?! 誰がっ………」


掴んできた手を払い退けて、すぐに身体を引いてその距離をとった

離れた私を、今度は逆に目を細め見下してきた


遊園地に行ってから、暫く何の音沙汰も無く過ごしていたが、なんかいつにも増して刺々しい

「大体、さっきの子に何でキスしたの?」


キスしてほしいなんて度が過ぎているけど、
あんな風に仕方なくでもキスしたら、彼女の中で絶対に諦めるなんて出来ないし

「無責任なんじゃない? そうゆうの………」


「………それ、お前が言うんだ」


言われた事に「えっ?」と、眉を寄せる


声の響く非常階段で、人を覗き込むように顔を近づけてきて、フッと鼻で笑う


「何よ………」


「いや、和馬がなんでお前なんか好きなんだろうとか思ってなぁ」


「…………っ」

顔を上げ目を細めたまま、感じ悪く睨んできた

今までにない黒木の態度に少し引いて俯いた

なのに、更に険悪な言葉を放つ

「酔って浮気はするし、他の男のキスマークつけたまま会いに行く無神経女……」

頭の上から吐き出すように落ちてきた

「それは………」


確かにそれは間違ってないけど、好きでもない子に仕方なくキスする黒木なんかに言われたくない
大体、キスマークはあんたが…………

顔を上げると、すぐ近くに顔を突き合わせてきた


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