私のいとおしい残念な男達




それは

飲み会での席を移動しようと立った時だった
ぐるりと周りの景色が揺れて、カクンッと急に力が抜けた



おかしい…………



今日は決して体調が悪かった訳じゃなかったのに

会社近くのよく来る居酒屋で、飲んだのだって初めはしっかり烏龍茶だけで、あとは課長たちのご返杯のコップビールの2、3杯だけのはずなのに…………


あれ、私酔ってる?


段々よく分からない頭痛と、ふらふらして瞼が重くなっていく
飲みすぎの気持ち悪さはないのに、手足も重くて呂律が回らない


「こなっちゃん大丈夫?」

心配そうに差し伸べられる手を


「らぁいじょぉぶです……」

なんとか振りほどいてトイレに入る

洗面で顔に水をつけて、なんとかしようとしたのに、やっぱり崩れ落ちてしまって………


「ああ、こなっちゃん大丈夫じゃないじゃん。
ほらっ、俺に掴まって………」


これは誰だっけ……?

女子トイレなのに、低い声で座り込む私を持ち上げる手


「とりあえず、出ようかぁ。課長には俺から言っとくからね………」


誰?

ダメだ………なんだか意識が………



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