私のいとおしい残念な男達
「おい、誰だその井ノ上って」
「いくら酔ってたって、さすがに井ノ上さんになんか、小夏先輩が送ってもらうなんてあり得ない」
そう言って俺を見上げた後輩女
「あ……………」
確か阿部が話していた名前が確か………
『怪しい所に出入りしてるうちの社員ですよ、その本人は井ノ上物産経営者の三男坊らしいですよ』
まさかその井ノ上って………
「そいつ、井ノ上物産の息子か?」
「え、なんで知ってるんですか?おかげで課長たちも厳しく注意しないんですよ、やりたい放題なんで」
「…………っ」
俺はすぐにその居酒屋を飛び出した
まさかっ 嫌な予感しかしないっ
「小夏っ」
いくら女だって言っても、人間1人抱えてそんなに簡単に歩ける訳ない
とにかくタクシー乗り場に向かった
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ここは、どこだろう?
なんだか誰かに支えられて歩いているみたいだけど…………
「……どぉ……こ?」
「あれ?まだ起きられるの?大丈夫、ちゃんと介抱してあげるからね」
介抱…………?
「もう、着くからね。ほらここ」
抱えるように連れられる先にチカチカと悪趣味な電飾が微かに目に入る
「は………っ」
その入り口の前で、なんとか足に力を入れて踏ん張った