私のいとおしい残念な男達
「やぁっ………」
しっかり顔を上げて瞼に力を入れたら、目の前には井ノ上さんがいた
「い……のう……え……さ」
だんだん気分まで悪くなってきた
確か飲み会で、課長たちにお酒を注ぐように言われて、そのご返杯を盛られて
急にふらふらして、トイレに行って………
それでどうしたんだ私…………?
「大丈夫大丈夫、すぐに気持ちよぉくしてあげるから」
掴まれ抱え込まれたまま、耳元でそう言われ、
ただゾッと鳥肌がたった
やだ……
「は……なぁ…………して」
口も上手く回らない
足に力を入れているのに、抱えられている手を振り解けない
バタバタと懇親の力を入れて逃げ出そうとしているのに、引き摺られるようにその明るい電飾の扉を潜り抜けようとする
どうしようっ………嫌だ、誰かぁ………
「小夏っ!」
「うわっ! なんだよっ?!」
もう、まともに何が起こっているのか分からない
ただ思いっきり引っ張られ、どこかの植木に投げ出された
痛っ………いたい
重たい身体を何とか起こすと目の前にスーツの男2人が取っ組み合っている
「このぉっ、何しやがったお前っ」
え……この声
身体の大きい方が、凄みを帯びた声で腕を振り上げ殴り掛かっていた
「………黒木?」
ダメだ、頭が回らない………意識が