私のいとおしい残念な男達


ふらふらしたまま、出て行った黒木を追いかけるつもりでベッドから出ようとすると、すぐ戻ってきた黒木に怒られた

「だったらまだ寝てろ、水ここに置いておくから」


いつも通りの黒木だ
一瞬でも拒否してしまったのに申し訳なくて顔を伏せた


「……………はい」

電気はつけたまま私を残し、寝室から出て行った黒木

でも、隣のリビングにいる気配がある

「……………」


そのまま、またベッドの中に重たい身体を埋めた

黒木が助けてくれなかったら今頃私………
その先を考えると、身震いが止まらない

大体、なんであんな事に………?


あれ?
でも、なんで黒木があそこにいたんだろう?


…………井ノ上さんはどうしただろう



なんとなくある記憶の中で、井ノ上さんから掴まれた腕を離して、彼に殴り掛かる黒木

その後心配しながら駆け寄って

黒木がここまで運んでくれたんだ………



隣の部屋との扉が少し開いたままにしてある


心配してくれてるんだ………




その安心感が何となく心地よくて、ベッドの中に埋めた身体をさらに沈め、眼を閉じゆっくり眠りについた



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