私のいとおしい残念な男達
『小夏とあまり上手くいってないのは分かってるだろ?』
『俺だって小夏はもちろん好きだよ。
でも、俺に好きな人は他にもいるから……』
和馬に、小夏以外の好きな奴がいる………
別れる事情は確かに2人だけの理由があるだろうが、じゃあなんで友達に戻るなんて言うんだ?
「これからまた会社に戻って、明日から福島だから空港近くのホテル泊まりなんだ」
「うん……」
淡々とそう小夏に伝えて、また会社に行く支度をしだした和馬
「帰りは火曜日になるから、小夏はまだしっかり治るまでウチに居ていいから………」
笑顔さえ見せていた
友達としての対応か?
いつも通りの和馬は、とても今2年間付き合っていた彼女と別れたとは思えない言い方だ
「そうさせてもらう。いろいろありがとう」
ソファーから小夏も応えるように笑顔を見せる
「じゃあね……」
そう言って玄関に向かう和馬を、小夏を横目に追いかけた
やっぱり納得いかない
「和馬っ!」
玄関で和馬の肩を掴んだ
「波瑠、今日は小夏の事見てて。無理させないように………」
「………なんで、お前だって心配なんだろ?どうしてこんな時にっ」
普通、優しいお前ならこんな状況で他の奴に任すのはおかしいだろ?
こんな状態で放り出したらあいつはまた………
「言っただろ、他に好きな人がいるって、小夏もそれは知ってる。だから俺たちはレスなんだよ」