私のいとおしい残念な男達
「誰だよ、その女。まさか常務の………」
「違うよ、それはちゃんと断った。その事は俺と小夏の問題だから、波瑠には関係ないよ」
2人の問題だぁっ?関係ない?!
「じゃあ俺を巻き込むなよっ!」
小夏が俺を誘ったのも、和馬が小夏と遊園地で二人きりにしたのだって
今、小夏を俺に任すのも………
2人に振り回されてるのは完全に俺じゃないのか?
「……………波瑠、だって頼まなくても波瑠ならそうするだろ?」
「!!」
くそっ………なにも言えない
そのまま、玄関から出て行った和馬を黙って見送った
「……………っ」
仕方なくリビングに戻ると、さっきまでソファーにいた小夏が寝室へ移動していた
覗いてみると、シーツを頭まで被りうつ伏せていた
「馬鹿か、お前は………」
声が漏れないようにしているんだろう
小刻みに震えるシーツから引きつくような息
「………何か買ってくるけど、いるか?」
そんな小夏に言うが、頭の辺りのシーンがふるふると震えた
「……なにも……いらっ……な」
和馬の前で泣けよ、我慢しやがって……
包まったままの小夏のベッドの淵に座り頭の辺りにそっと手をあてた
「小夏……」
「…………っ…」
「なぁ、俺は……」
お前は、俺にどうしてほしい………?
「くろっ………ごめ…んっ……ごめっ…」
息切れぎれにくぐもったまま、肩を震わせながら微かに聞こえた声