私のいとおしい残念な男達
おしゃべりなポケット
秋から冬にかけて、人と街並みの色の入れ替えが起こる
少し前までの明るい色の多かった人の波が
一変にモノトーン色に………
風の冷たさが、心の寂しさの色を運び込んでくるのだ
それをイベントによる明るい街並みでカバーされる
「さすが、元気なお姉さんはスカートで頑張ってらっしゃる」
こんな時期にだからこそ鮮やかな色を身に付ける女子をみるのは結構好きだ
「なに年寄りみたいな事言ってるんですか?早く帰らないと仕事定時で終わりませんよ先輩」
ワインイベントの手伝いからようやく解放され、会社へ戻るところだ
急遽な助っ人のため、社内での業務スケジュールはバタバタだ
「大体、1課は3課を倉庫番としか思ってないんだからっ、こき使われる覚えはないっつうのっ!」
モモちゃん相当ご立腹
「まあまあ、1課が忙しいから3課まで面白そうな仕事が回ってくるんじゃない」
ヘラヘラと急ぐモモちゃんの後をついて歩きながらそう言うと、くるりと向きを変え戻って顔を突き合わせてきた
「この歳で着ぐるみ着せられるなんて本当に貴重な体験ですよ」
「ははははっ……」
身長155㎝以下の着ぐるみ要員社員がインフルエンザで休んだため、仕方なく背の低いモモちゃんが代行として呼ばれたのだ
と、私はその隣についてイベントの手伝いで
「私だって、まさかメイド衣装着せられるなんて思わなかったわよ」