私のいとおしい残念な男達

理解って………?


「それと、君を襲おうとした奴の事なんだけど」

「………井ノ上さん、ですか?」

あまりもう関わりたくない人………

「そう。彼を何とかしたくても、君や彼を殴った黒木君は表に出したくなくてね………」

「あ…………」


黒木、井ノ上さんを殴ったんだ

コーヒーカップを両手で持ちながら、軽く肩を竦めた

「でも、別の被害者がいてね。そっちから彼をあぶり出して、薬の出処ごと抑える事が出来たから」


「………別の被害者って?」

そう聞いて水野君と正面で目が合うと、一瞬背筋が冷たくなった

「井ノ上と一緒にいて、小夏さんと同じように意識を失った子がね」

「…………っ」

蘇る記憶にまた少し手が震える

「その子は………?」

「知りたい? その子が井ノ上に何をされたか」

目の前の水野君がコーヒーカップをソーサーに戻しながら静かにそう言った


「…………っ」


咄嗟にふるふると首を振った


「って言っても教えられないけどね」

肩を上げ、ニッコリと笑顔を見せて安心させてくれた



「本当にラッキーだったんだよ、君は黒木君に助けてもらって。だから今回の事は忘れて、この先こうゆう事に巻き込まれないように気をつけてね」


「…………はい」


私の一瞬の記憶の震えを見透されたようだ
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