私のいとおしい残念な男達

やっぱり秋山さんの目的は和馬だったんだ

もしかしたらあの日の黒木の相手が私かどうか確かめたかったのかも知れない

「君の存在さえなければ桐生が自分のものになるなんて思い込むほど危ない子でもなかったんだけどね〜」

黒木や私にも、接触をしてきた秋山さんにさすがに和馬も無視出来なかったらしい

一応法律に携わる水野君が、そんな事をつらつらと話はじめる

和馬の部屋をうろついたり、メルBoxを漁る秋山さんの写真を何枚か提示して、彼女に反省文を書かせて事は収まったみたいだけど


『私が見る限り、桐生さんと七瀬さんは終わってると思うのよ。だって、彼の部屋への出入りが全くないんだもの』なんて言ってたらしい



「家柄も良くて、大手エリート社員なのに温厚で擦れてない。女性にとっては実に理想の結婚相手だからね。逆に、君が何で桐生を手離したのか疑問なんだけど」


「……私が振られたんです」


「にしても、しがみ付くでしょ普通」

いくら和馬の友達だからとはいえ、水野君には関係のない事だ

「…………」


私が俯いたまま黙り込むと、すぐに
「ごめん、つい突き詰めるような言い方になってしまって」と謝ってきた

「久しぶりに会った桐生が、まさか女の子と付き合ってるなんて思わなかったからさぁ……」


え………?


「桐生には昔から興味があってね。言ったでしょ、黒木君より理解してるって」


視線を上げる私顔を覗き込むと、意味あり気に口角を上げた


「興味って、やっぱり水野君も………」


「いや悪いけど、僕の好きなのは女の子だよ」


あ、そうなんですか


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