私のいとおしい残念な男達

大手企業では良くある話だ

優秀で、将来性が高くて向上心があり、人間性のいい若者社員が役員上司に気に入られて自分の娘の伴侶に指名する。


優秀で将来性のある独身社員は、それなりモテるし、彼女もいて

だから社内じゃ格好の話題の的なのだ


そんな人と2年前から付き合っている私
彼女として隠しているわけではないし、
渦中の人物として扱われるのは仕方ない……



でも、噂に対して和馬と何も話してないし

噂ってのは、事実より大袈裟で


『常務のお嬢様ってまだ21歳の学生らしくて、綺麗で完ぺき女子なんだってぇ。更に桐生さんに夢中なんだって聴いたよぉ』

『えぇ……でも、そこに釣られて欲しくないなぁ、桐生さんには』


「……………」

彼の人となりは、女子社員たちの中でも理想的な男性の象徴

付き合ってる彼女を捨てて、出世のための結婚を選ぶなんて、あり得ないらしい


ま、あの薄情男の代表みたいな黒木波瑠登なら話は別だけど…………




ははっ、私という人物像は彼女だと言うだけで、完全に無視されてるけど


でも……………もしここで私の方が浮気した事が分かったら、彼はどうするだろう


あんな完璧男子の彼を裏切って、彼の親友と寝てしまった私


「……………」


………………なんだか、急に不安なってきた

和馬、あいつに何の話してるんだろう?
親友だし、仕事以外の話かも
あの場で話さなかったって事は、どこか別のところで………?

二人が食堂を話ながら出ていったのは見た


そう言えば、私だって和馬と最近は会話らしい会話のやり取りさえしていなかったっけ?


和馬は文字通り忙しい人だ
会社でも有望人物だし、今はプロジェクトチームの主任
メールや電話だって、簡単に出来ないのは当たり前



「……………っ」

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