私のいとおしい残念な男達


「………和馬が?」


「お前があんな目に遭ってなかったら、ここまでしなかっただろうな………」


「…………」


そのまま、駅に着いた


「小夏………これ」

改札に向かう前に、黒木が手を差し出した

その手の中には、黒木から返してもらうように頼んだ和馬の部屋の鍵が


その鍵を見て、私は黒木に顔を上げた


「ちゃんともう一度二人で話せよ、あんな別れ方おかしいだろ……」


「でも………」

「海外出向は和馬自身が希望をだしてたらしいぜ、だいぶ前から………
だからその時に、お前との事本当はどう考えてたのかちゃんと聞いてこいよ」

そう言って私の手の中に無理矢理鍵を掴ませた


「黒木………」

「お前らにどんな事情があるか知らないが、少なからずあの時俺が和馬にあたって、お前との事バラしたのがキッカケかもしれないし……」


「え、バラしたって……言ったの? 和馬に?」


「………悪い、つい」


そんな、叱られた犬みたいな顔しないでよ
黒木は何も悪くないのに………


「そっか………」

確かに知られたくはなかったけど、でも知った上であの答えだったんだ……


『小夏、この際お互い元の友達に戻らないか?俺達』


「………そうだね、ちゃんとしなきゃ。ありがとう」


「…………じゃあ」

そのまま改札には向かわないで、方向を変えた黒木


「えっ、あれ? 帰らないの?」


「まだ仕事が残ってんだ。会社に戻る」


背中を向けたままそう言って会社へ戻って行った



「…………」






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