私のいとおしい残念な男達


「ああ、もう読み終わって読み返さない本は整理しようと思って」

本の整理?
そうか……海外出向するんだもん、少しづつ片付けていくんだ

「もし欲しいものがあったらあげるよ」


そう言いながら、ミルクを温めてカフェオレを入れてくれた

いつもと同じカップに入ったカフェオレを手渡されながら、私は首を振った

「和馬の読む本は難しいから、いいや」


「そう?結構ジャンルは広い方だけどなぁ」

遠く離れようとしている和馬から貰えば、きっとそれが和馬になってしまう………


「聞いたよ、海外出向するって。いつごろどこに行くのか聞いていい?」


「ロス支店にね。たぶん最低5年かそれ以上かな。来月末には向こうに行ってる」

さらりとそう話す和馬

そんなに………



「和馬が海外出向を希望してるなんて……
全然知らなかった」


「そうだね、言ってなかったから」


「…………」

返す言葉が見つからなくて、会話が途切れた


ダイニングテーブルに腰を預けて、立ったままコーヒーを啜る和馬

その横のソファーで、入れてくれたカフェオレを両手で持ってゆっくり飲みながらのどを暖める


「小夏」

「ん……?」



「一緒に、来る?」


「……え?」


「ロサンゼルス、二人で」


口をつけていたカフェオレから顔を離し、目の前に立つ和馬を見上げた



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