私のいとおしい残念な男達
彼と肌を合わせたのは、だいぶ前になるし
キスをしたのは………?
最近は、お互いの近況報告メールばかりで、
さっきみたいに電話以外で話したのは何日ぶりだっただろう
「私、ちょっと先にいくね」
二人を残して席を立ち、なんとなく和馬たちが食堂を出た方へ向かった
「…………小夏」
エレベーターの横にある非常用内階段の前
そこで黒木に呼び止められた
「あれ、和馬は?」
「もう行った。なんだ、用があったのか?」
「…………いや、別に用って訳じゃ」
そう言えば追い掛けて、私は何を話すつもりだったんだろう
噂の真相? いやいやそれを聴くんだったら少し気合いを入れないと
それともせめて少しでも話が出来る時間をと、お願いするつもりだったのだろうか
「そっか、相変わらす忙しいんだ………」
「…………」
グィッ
「へっ?」
突然黒木に腕を掴まれて、非常用階段の中へ引っ張り込まれた