私のいとおしい残念な男達



彼と肌を合わせたのは、だいぶ前になるし
キスをしたのは………?

最近は、お互いの近況報告メールばかりで、
さっきみたいに電話以外で話したのは何日ぶりだっただろう



「私、ちょっと先にいくね」

二人を残して席を立ち、なんとなく和馬たちが食堂を出た方へ向かった




「…………小夏」



エレベーターの横にある非常用内階段の前

そこで黒木に呼び止められた


「あれ、和馬は?」

「もう行った。なんだ、用があったのか?」


「…………いや、別に用って訳じゃ」

そう言えば追い掛けて、私は何を話すつもりだったんだろう

噂の真相? いやいやそれを聴くんだったら少し気合いを入れないと

それともせめて少しでも話が出来る時間をと、お願いするつもりだったのだろうか


「そっか、相変わらす忙しいんだ………」


「…………」


 グィッ

「へっ?」


突然黒木に腕を掴まれて、非常用階段の中へ引っ張り込まれた

< 17 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop