私のいとおしい残念な男達

私の言う疑問に答えをくれる気があるのか分からない和馬

こちらに視線を向けないまま、自分のコーヒーを一口くちに含んでフッと息をついた


「小夏を最初に見つけたのは、俺じゃなくて波瑠なんだよなぁ………」

まるで独り言のようにそう言うのに首を傾げた

「黒木……?」


「2年前の社内発表会だよ、覚えてない?あの初めて会った時の事」

「覚えてるけど……?」

それが今と何の関係があるんだろう?


「小夏の発表が始まった時、波瑠が言ったんだ
『見つけた』って」

「?」


まだ話の主旨が分からずに聞いていると、ダイニングテーブルにコーヒーのカップを置いた和馬はソファーに座る私の隣へ移動してきた


「波瑠はたぶん、あの時より前から小夏を知っていたんだと思う。偶然発表会で小夏の名前と部署を知って、1部が終わって休憩時間の30分の間に、急いで小夏の部署のある5階まで探しに行ってたからね、あいつ」

「部署に?なんで?」

「休憩前の発表をした部署の社員は大概仕事に戻っていくだろ?だから………」


「………ああ〜」


「そしたら小夏は、2部の発表も聞くために休憩スペースにいたのを俺が見つけたんだ」


そうだったっけ………



「自分が探してた小夏が、いつの間にか俺といるんだもんな。あの場に居合わせた波瑠の顔は傑作だったぁ……」

そう言って小さくククッと失笑した

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