私のいとおしい残念な男達
「え、和馬?」
まだ理解出来ない………
隣に座る和馬に身体を向けながら見上げた
「でも、小夏を飲みに誘って、それから一緒にいる様になって分かったんだ。波瑠が小夏に恋してるってね」
「…………」
「だから………俺が先に小夏に告ったんだ、
波瑠が告る前に」
「…………」
「嫉妬してたんだ俺……小夏に」
そう静かに私を見て言った和馬の言葉の意味を理解するのには、時間が掛からなかった
『そもそも、桐生が君と付き合い始めたキッカケも黒木君だったりして』
すぐに水野君が言った言葉が浮かんだ
「そう………だったんだぁ………」
なんだか指先が、段々と冷たくなっていくような気がする
初めから私はいなかった
自分だけを好きでいてくれると思っていた人は、本当は初めから別の人の気持ちを繋ぎ留めるために一緒にいてくれただけだった………
ほら、やっぱり何も知らなかった方が幸せだったじゃない……
「小夏、待ってっ!!」
気がつくと、ソファーを立ち上がろうとする私の腕を和馬に掴まれた
「まだ、聞いて小夏っ」
引き戻そうとする和馬に、首を振る事しか出来ない
もう聞きたくない
やっぱり来なきゃ良かった
「確かに始めはそうだった、でも……」
「私は、初めから好きだった」
真っ白になった頭の中から思わず口に出た
「私は、付き合おうって言われて、嬉しかった。和馬だけだったのにっ」