私のいとおしい残念な男達
まともに顔を突き合わたまま、怒鳴るのも涙を見せるのも初めてだったかもしれない
「私には黒木なんか関係ない、初めから好きでもなかったなんて……さすがに酷いよ」
思い返せば2年間、彼に自分の我が儘を通そうとした事があっただろうか?
静かに離された手、沈んだ気持ちのまま涙を拭った
「違うよ、そうじゃない………だって俺は楽しかったんだ。3人でいられたから」
和馬が立ち上がったままの私を見上げ、口を開いた
「たとえばこのリビングのテーブルで、小夏が隣にいて波瑠が正面にいる位置がずっとそのままだったらって思ってたんだ。
でも………波瑠を巻き込んだのは小夏だろ?」
「え………っ」
見つめてくる和馬の眉が歪む
「俺なりに、波瑠にはラインを引いていたはずだよ。『親友とその彼女』としてあった関係を、それを破ったのは小夏じゃないか……」
私が………
目を逸らす私に対して、和馬の手が伸びてくる
その手が私をソファーへ引き戻した
「波瑠が好きになった子を俺だって惹かれない訳ないだろ?波瑠から引き離すくらい簡単だったけど、小夏とも一緒にいたいと思ったから、だから小夏には俺の全部を話したんだ、昔の事も……」
「…………っ」
「それとも嘘つかれてた方がよかった?」
どう考えたらいいんだろう………
分からなくなってきた
「…………じゃ、私が悪いの?」
声にならない様な声でそう言うと、優しいままの和馬の手が頰を触る