私のいとおしい残念な男達
頭の上から寂しそうなそんな声が落ちてくる
だから和馬の背中のワイシャツに手を回してギュッと掴んだ
それなのに、和馬の手はやっぱりキツく抱きしめてはくれない
「…………」
「波瑠は変わったよ。俺を避けるだけじゃなくて、完全に嫉妬してるんだ。もう波瑠から小夏を取り上げる事なんて出来ないよ」
「黒木なんて、あんな鬼畜な奴私は……」
和馬の胸の中でくぐもった声でそう言う
大体あいつには女の子に対しての誠実性がない
「気を紛らすためにいろんな子といい加減な付き合いをしてたのだって分かってただろ?
波瑠だって我慢してたんだ」
そう言われても、今は首を振ることしか出来ない
「………和馬は、私が必要ないの?」
「…………」
答えのないまま、和馬の小さい溜め息を感じた
「和馬……?」
見上げると、前髪を搔きあげ目を逸らした
「必要だよ。でも………友達としてね」
「…………友達」
それが彼の本心なんだろうか
はっきり言われると結構キツイな………
「今は友達なんて……無理だょ」
全てをチャラにして和馬の望む『元の3人』になんて戻れない
「そっか……じゃあいつかでいいよ」
それなのに、変わらず優しい手で頭を撫でてくれる和馬
私はこの心地よさからは離れたくなかった
「今の俺は小夏の黒歴史の仲間入りにしておいてよ」
「黒歴史って………?」