私のいとおしい残念な男達

「言っとくが小夏はまだ当分俺を忘れられない筈だよ。波瑠、報われないと思うけど…」


『う、煩い分かってるっ! 切るぞ』

プツッと話しをするつもりもなく切られた

波瑠の眉を吊り上げる顔が浮かんで、思わずクックッと肩を上げる


「そうゆうところが、好きなんだよなぁ……」


普段カッコつけてクールを気取ってる癖に、簡単にそれが崩れるから面白い

裏表のない奴というか、分かりやすいというか


「…………成長しないな、俺も」


ベランダに出て下を覗けば、マンションの出口に2人の黒い頭が見える


7階からじゃ点にしか見えないのに、小夏と波瑠だとハッキリ分かるのが本当、嫌だね

見ていると沈むだけだと分かってるから
すぐにベランダの吐き出し窓を締め鍵を掛けた


本当に、一体小夏と波瑠のどっちに嫉妬してたのか……


それとも自分の胸に空いた穴を2人に埋めて欲しかったんだろうか

…………どっちも必要なんて、結局俺が一番我が儘だったんだろうなぁ





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