私のいとおしい残念な男達

顔を突き合わせてそう言う黒木

繋いだ手を、離して両手で私の頰をつねってきた

「は、やぁひっ……ひぃひゃいぃ」


「一年でその泣き虫なおしとけよ、バカ小夏」

摘んだ頰を今度は手のひらで覆って、顔を動かせないまま上げられ唇が塞がれた


「んんっ!!」

こんな自宅近くで、なんてことを!

黒木の自分本意なキスで口内を侵される


唇が離れると「なにしっ……」と出した声を咄嗟に黒木の手のひらで塞がれた

「しっ……近所迷惑だろ?大きな声だすな」

「………んっんんんん、んんっん」
(………なっあんたが、悪いだろっ)


「ははっ元気じゃん、じゃあ俺帰るな。それとそのブサイクな顔冷やしとけよっ」


パッと私から両手を離し、身体を翻した
駅へ走って行くって、やっぱり時間ないんじゃん


「な、な、な、こぉのバカ黒木ぃぃっ〜〜」


思わず考えなしに大声を上げた



なんて自分勝手な奴、こっちは人生最大の失恋したって言うのに

勝手に待ってて、勝手に手を繋いで、勝手なこと言って、勝手につねってキスして………



ふざけんなぁァァァァ………







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